おまけ9:構築とPTの腕と運の関係

はじめに

私は、今まで構築法や、心理戦について色々と考察を重ねてきました。が、「構築とPTの腕と運」を総合した理論は未だに殆ど手付かずでした。なので、今回は「構築とPTの腕と運」について少し書き連ねておこうと思います。

対戦前の準備

対戦前には、とりあえずパを用意する必要があります。2000最終結論は所詮メタgなので、メタの流れに合わせてパを用意するのも良いし、どんなパが出てきても困らないように万能パを用意するのも良いでしょう。ちなみに、前者の場合はハイリスクハイリターンな行動となり、後者は安定行動となります。

「2000最終結論=メタg」については「2000最終結論への道」、「メタgを使用した戦術」については「おまけ5:心理戦基礎」 に詳しく書いてあるので、よろしければそちらを参照してください。

また、構築の方法自体について調べたいのでしたら、「おまけ3:2000構築の作り方改」等を参照にしてください。

対戦中での「構築とPTの腕と運」の関係性

「構築」について

双方が構築を選んだ地点で、双方の有利不利が見えてきます。

ただし、有利不利を判断する際には、「双方が常に最善行動を行う」という前提が無くてはなりません。立ち回りのミス等を予測するのは不可能なので、この前提条件が無いと、構築を元に有利不利を判断するのは不可能になります。

分かりやすくするために例を挙げると、「眠るターンを間違えて、本来倒されるはずの無いポケに倒される」「爆破しか出来ないポケを最後まで取っておいてしまう」等の例があります。極端な例だと、「片方が交代を繰り返して何も出来ずに負ける」「地震剣ガラとめざ地ライコウとの最後の一匹勝負で、ガラが剣舞を繰り返してライコウに倒される」等の例ですらありえます。

「立ち回り」について

構築での有利不利は、「双方が常に最善行動を行う」という前提で決定しました。ここで、最善行動から外れた行動を行えば行うほど、構築によって決められた有利不利よりも不利になってくると考えられます。

基本的には、(時間制限が無く、ミスが起こらないことを前提として)はっきりとしたデータが揃っていれば最善行動は導き出せます。はっきりとしたデータは、POKeDEXと対戦ログを参照にすることになるので、これも誰でもそろえることが出来ます。

ただし、相手のポケの型が分からない場合は、はっきりとしたデータが不足してしまうと考えられます。相手のポケの型がどんな型であろうと対応できるような行動があれば、その行動が最善行動ですが、そうでない場合は相手のポケの型を読む(予測する)必要が出てきます。(ポケの型読みについても、「おまけ5:心理戦基礎」を参照してください)

また、はっきりとしたデータが十分に揃っている時でも、相手の行動によって最善行動が変化し、それにより最善行動が複数になる場合があります。この場合も、後述の「読み」を使用することになります。

ただし、相手の行動によって最善行動が変化はしないが複数になる、という場合は読みは必要無いです。なぜなら、「相手の行動によって最善行動が変化しない→最善行動は事実上1つ」と考えられるからです。

例を挙げると、10万めざ氷ライコウと(ライコウめざ氷で即死してしまう程にHPが削られた)リザのタイマン等です。

「運」と「読み」について

ポケでは、「構築」や「立ち回り」といった確定要素だけでなく、「運」と「読み」という不確定要素が絡んできます。ここでは、その2つの不確定要素について述べたいと思います。

「運」について

この「運」という要素は、コンピューターによって決められるもので、双方の実力差とは全く関係の無いところで決められます。なので、個々の実力差に関係が無いという意味では、非常に公平な要素ということが出来るかと思います。(ただし、その「運」という要素をどう扱うかということについては、双方の実力差ははっきりと現れてきます)

また、構築を決める地点で、「運」という要素から受ける影響を強める(運gを誘発する)ことが可能です。例えば、いばみがを使用する、命中率の悪い技を使う等といったことで、「運」という要素から受ける影響が強まります。

「読み」について

ここで一つ断っておきますが、「相手のポケの型に関するはっきりとしたデータが無いために、最善行動が導き出せない場合」と、「相手の行動によって最善行動が変化し、それにより最善行動が複数になる場合(双方の最善行動が2つ以上ある場合)」にのみ「読み」という要素が絡んでくると思います。なので、どちらかが「第3者による密告や八百長等により、相手のポケの型や選ぶ行動が判っているため、自分の最善行動を1つに絞れる状態」にある場合、「読み」という要素は絡んできません。

よって、「相手のポケの型がわからず、最善行動が導き出せない場合」と「相手の行動によって最善行動が変化し、相手の行動が判らず、それにより最善行動が複数になる場合」をここでは考えていくことになります。

相手のポケの型や行動が判らないのは、基本的には心理的要素が関わっているからだと思われます。心理的要素の干渉が原因で相手のポケの型や行動が判らない場合、「運」の場合のように、コンピューターによっては決められず、あくまで人間の心理によって決められます。

(ただし、「読みが必要かどうかが問われる場面であるということに気づけない状態」や、「本来なら読みが必要かどうかが問われる場面であっても、(相手の逆読みやミス等を待てばいずれ勝てそうなので)読みが必要でないと判断する状態」に陥る原因も「心理」にあり、故にそれらの状態も不確定な状態であると仮定する。ちなみに、「読みが必要かどうかが問われる場面であるということに気づけない状態」は、ある意味「立ち回り」のミスでもある)

なので、人間の心理を掴むことが得意な方は、この要素では得をすることが多いでしょう。(ただし、人間の心理を完璧に掴むことは恐らく不可能なので、いくら人間の心理を掴むのが得意であっても、心理的要素によって生じる「読み」が不確定要素であることには変わりないと思われます)

ここで、相手の行動が判らない原因が、運要素にある場合というのも存在し得ます。「ランダム戦略」を用いた場合にそうなります。この場合は、「運」の場合と同じく、コンピューター等によって決められ、双方の実力差とは全く関係の無いところで決められます。そして、個々の実力差に関係が無いという意味では、非常に公平な要素という性質を持ちます。(ただし、ポケの型は膨大にあるので、相手のポケの型を読む際にランダム戦略を用いるのはかなり困難だと思われます)

また、構築を決める地点で、「読み」という要素から受ける影響を強める(読みgを誘発する)ことが可能です。

例えば、ドブルを使用する、吠えない昆布を使用する、交換読みによる無償光臨を積極的に使用する(ただし、こちらの無償光臨したいポケに対して致命的な攻撃を仕掛けられる危険が無い時は「読みg」は誘発されない)等といったことで、「読み」という要素から受ける影響が強まります。

読みについてもう少し詳しく知りたいのでしたら、例の如く「おまけ5:心理戦基礎」を参照してください。

「構築とPTの腕と運」の関係式

したがって、「構築とPTの腕と運」の関係を式にして表すと次のようになるでしょう。

(対戦者をAとBとする)

Bの構築に対するAの構築の優位度-Aの立ち回りのミスによるAに対する悪影響の高さ+Aの不確定要素 □ Aの構築の対するBの構築の優位度-Bの立ち回りのミスによるBに対する悪影響の高さ+Bの不確定要素

上の式で、□に「>」が入ればAの勝ち、「<」が入ればBの勝ち、「=」が入れば引き分けとなります。

(注)
「Aの立ち回りのミスによるAに対する悪影響の高さ」は、単にミスの回数のみでなく、そのミスが致命的であるか否かであることも考慮して決められる。
(例・「役割をまだ追行できていないHP満タンのヘラが、相手のサンダーの前に特に意味も無く居座ってしまう」という「1回の」ミスを考えた場合、相手のサンダーが10万Vを打った場合はヘラのHPが1/3強削れるだけで済むが、ドリ口を打った場合はヘラ即死という大きな痛手を負うことになる)
また、「不確定要素」は、「運の良さ+読みの精度の高さ」を指す。

ここで、「不確定要素」がどの程度の範囲で可変するかを述べておきます。

まず、上の式を変化させてみます。

Bの構築に対するAの構築の優位度-Aの立ち回りのミスによるAに対する悪影響の高さ+(Aの不確定要素-Bの不確定要素) □ Aの構築の対するBの構築の優位度-Bの立ち回りのミスによるBに対する悪影響の高さ

そして、次の2つの仮定があるとします。

  1. Aが最善行動を取り、更に偏運を考えた場合、Aの構築はBの構築に対して決定力を出せ(=「確定負け」を防げ)、逆にBの構築はAの構築に対して決定力を出せない(=「確定負け」する)とする
  2. Aは最善行動を取るとする

この2つの仮定があった場合、Aは読まなければ勝てないような状態にはならず(「読み合い」は生じず)、偏運があってもBは勝てないため、(Aの不確定要素-Bの不確定要素)がどんな値になったとしても、Aの勝ちは確定します(□の中には絶対「>」が入ります)。なので、「不確定要素」がどんな値になっても負けてしまうといった状態を防ぐには、上の2つの仮定を満たさないようにしなければなりません(更に言うと、自分の力で仮定が満たされるのを防げるのは、1の仮定のみです)。

とりあえず、今はこれぐらいで。今後色々と追加するかもです。しないかもしれませんが。

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